資料館 日本国有鉄道運転規則(1985年時点)

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日本国有鉄道運転規則(昭和30年運輸省令第5号)

最終改正:昭和46年運輸省令第56号

第一章 総則

(目的)
第一条 この規則は、日本国有鉄道の鉄道(新幹線鉄道を除く。)における車両、線路その他輸送施設の取扱を定めることにより、運転の安全を図り、もつて公共の福祉を確保することを目的とする。
(この規則の適用)
第二条 日本国有鉄道の鉄道(専用側線を含む。)における運転は、この規則の定めるところによつてしなければならない。ただし、この規則により難い特別の事由がある場合には、運輸大臣の承認を受けてこれによらないことができる。
 前項ただし書の場合において、災害又は事故のためその承認を受けるいとまがないときは、承認を受けないでこの規則によらないことができる。
(用語の意味)
第三条 この規則における用語の意味は、次の通りとする。
  1. 一 「停車場」とは、旅客の乗降、荷物の積卸、列車の組成、車両の入換又は列車の行き違い若しくは待ち合せを行うために常用される場所及び常置信号機を取り扱う場所をいう。
  2. 二 「本線」とは、列車の運転に常用される線路をいう。
  3. 三 「電車線路」とは、電車線及びこれを支持する工作物をいう。
  4. 四 「運転保安装置」とは、閉そく装置、信号装置、連動装置、転てつ装置、軌道貨車制動装置、踏切警報装置、列車運転用通信装置等をいう。
  5. 五 「車両」とは、機関車(貨車の入換に使用するため原動機により軌条の上を移動させることを目的として製作した重量二トン以上の用具を含む。以下同じ。)、客車(客車式構造の車両、電車及び気動車を含む。以下同じ。)及び貨車(貨車式構追の車両及び雪かき車を含む。以下同じ。)をいう。
  6. 六 「列車」とは、停車場外の線路を運転させる目的で組成された車両をいう。
  7. 七 「動力車」とは、機関車、電動車及び気動車(制御車及び附随車を除く。)をいう。
  8. 八 「緩急車」とは、貫通制動機用の制動筒、圧力計、車掌弁及び手用制動機が装置してある車両で、係員が執務することができる車室が設けてある客車又は貨車をいう。
  9. 九 「トロリー」とは、軌条から容易に取りはずすことができるトロ、ハンドカー、軌道モーターカー及び軌道自動自転車をいう。
  10. 十 「危険品」とは、別表第一に掲げる物のうち火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)第二十条第二項の規定の適用を受けないものをいう。
  11. 十一 「閉そく」とは、一定の区間に同時に二以上の列車を運転させないために、その区間を一列車の運転に占用させることをいう。
  12. 十二 「進行を指示する信号」とは、進行信号、減速信号、注意信号及び警戒信号をいう。
  13. 十三 「列車防護」とは、停車場外の線路において列車が停止した場合又は線路若しくは電車線路に列車の停止を要する障害が発生した場合において、進行してくる列車を停止させるために、列車の制動距離を考慮して停止信号を表示することをいう。
(実施規定)
第四条 日本国有鉄道は、この規則の実施に関する規定を定めて、運輸大臣に届け出なければならない。これを変更したときも同様とする。
 前項の実施に関する規定は、運輸大臣がこの規則の実施に関する細目を定めたときは、これに従つて定めなければならない。
(係員の教育及び訓練)
第五条 次に掲げる作業を行う係員については、適性検査を行い、その作業を行うのに必要な保安のための教育を施し、作業を行うのに必要な知識及び技能を保有することを確かめた後でなければ、作業を行わせてはならない。
  1. 一 動力車を操縦する作業及びその補助作業
  2. 二 列車防護、制動機の取扱、推進運転の合図等のため列車に乗務する作業
  3. 三 列車の運転に関して、閉そく、鉄道信号又は転てつ器を取り扱う作業
  4. 四 入換に関して、鉄道信号又は転てつ器を取り扱う作業
  5. 五 線路、電車線路又は運転保安装置の保守、工事等で、列車の運転に直接関係があるものを単独で行い、又は指揮監督する作業
  6. 六 踏切道の遮断機を取り扱う作業
 列車の動力車を操縦する作業を行う係員については、その作業に熟錬した係員の指導により、少くとも二百時間実習をさせなければならない。
 第一項各号に掲げる作業を行う者であつて、地方鉄道又は軌道に所属する係員については、同項の適性検査及び教育は、当該係員の所属する事業を経営する者が行うものとする。
(他所属の係員及び動力車による作業の届出)
第六条 日本国有鉄道以外の者に所属する係員に前条第一項各号に掲げる作業を行わせようとするとき、又は日本国有鉄道以外の者に所属する動力車を使用して列車の運転若しくは入換をしようとするときは、運輸大臣に届け出なければならない。
(列車防護用信号器具の携帯)
第七条 次の各号に掲げる係員には、列車防護用の信号器具を携帯させなければならない。
  1. 一 列車の動力車を操縦する係員
  2. 二 列車防護、制動機の取扱、推進運転の合図等のため列車に乗務する係員
  3. 三 停車場外の線路、電車線路又は運転保安装置の監視、巡視等をする係員
  4. 四 停車場外の線路、電車線路又は運転保安装置の改築、修理等の工事の指揮監督をする係員
  5. 五 トロリーの指揮をする係員
  6. 六 踏切道の遮断機を取り扱う係員
(応急用の器具及び材料の整備)
第八条 車両、線路その他輸送施設に災害その他運転事故が発生した場合における応急復旧のための器具及び材料は、適当な個所に整備して置かなければならない。
(運転事故の報告)
第九条 別表第二に掲げる運転事故のうち次に掲げるものが発生したときは、電話又は口頭でその概要を運輸大臣に報告しなければならない。
  1. 一 列車の乗客に死亡者を生じた運転事故
  2. 二 五人以上の死傷を生じた運転事故
  3. 三 運輸大臣が指定する主要本線を六時間以上支障すると認められる運転事故
  4. 四 特に異例と認められる運転事故
 毎月十日までに前月に発生した運転事故の件数を、運輸大臣が定めるところに従つて、別表第二に掲げる種類別に運輸大臣に報告しなければならない。
 別表第二に掲げる運転事故が電気施設に係る事故を併発した場合には、毎月十日までに前月に発生した当該運転事故について、運輸大臣に報告しなければならない。

第ニ章 施設

第一節 線路の保全

(線路の保全)
第十条 線路は、列車又は車両が所定の速度で安全に運転することができる状態に保持しなければならない。
(線路の検査及び試運転)
第十一条 新設した線路及び改築し、又は修理した線路は、これを検査し、試運転を行つた後でなければ使用してはならない。ただし、軽易な改築又は修理をした場合には、試運転を省略することができる。
 災害その他運転事故が発生した線路で故障の疑いがあるもの及び使用を休止した線路に列車又は車両を運転する場合には、あらかじめ当該線路を検査し、必要に応じ試運転をしなければならない。
(本線の巡視及び監視)
第十二条 本線は、毎日少くとも一回巡視しなければならない。
本線において列車の運転に支障を及ぼす災害のおそれがあるときは、当該線路を監視しなければならない。
(線路の障害)
第十三条 線路が列車を所定の速度で運転することができない状態となつたときは、信号によりその旨を表示し、特に注意を必要とする個所は監視しなければならない。
 停車場外の本線において、列車の停止を要する障害が発生したことを認めたときは、すみやかに列車防護をしなければならない。ただし、もよりの停車場から当該本線に列車を進入させない措置を講じたときは、この限りでない。
(線路の定期検査)
第十四条 線路については、次の定期検査を行わなければならない。
  1. 一 六月をこえない期間ごとに行う本線(これに附帯する分岐器を含む。)の軌間、水準、高低、軌条継目遊間及び通りの検査
  2. 二 一年をこえない期間ごとに行う軌道の検査
  3. 三 二年をこえない期間ことに行う橋、トンネル、転車台等運転に関係がある工作物の検査
(記録)
第十五条 第十一条及び前条の規定により線路の検査を行つたときは、その年月日及び成績を記録しなければならない。
(線路を閉鎖する工事)
第十六条 線路の改築、修理等で列車の運転に支障を及ぼすこととなる工事は、当該工事を施行する区間に列車を進入させない措置を講じた後でなければ、行つてはならない。

第二節 電力設備の保全

(電力設備の保全)
第十七条 列車運転のための電力設備(以下「電力設備」という。)は、列車又は車両が所定の速度で安全に運転することができる状態に保持しなければならない。
(電力設備の検査及び試運転)
第十八条 新設した電力設備及び改築し、又は修理した電力設備は、これを検査し、試運転を行つた後でなければ使用してはならない。ただし、軽易な改築又は修理をした場合には、試運転を省略することができる。
 災害その他運転事故が発生した電力設備で故障の疑いがあるもの及び使用を休止した電力設備により列車又は車両を運転する場合には、あらかじめ当該電力設備を検査し、必要に応じ試運転をしなければならない。
(電車線路の巡視)
第十九条 本線の電車線路は、毎日少くとも一回巡視しなければならない。
(電車線路の障害)
第二十条 電車線路が列車を所定の速度で運転することができない状態となつたときは、信号によりその旨を表示し、特に注意を要する個所は監視しなければならない。
 停車場外の本線の電車線路において、列車の停止を要する障害が発生したことを認めたときは、すみやかに列車防護をしなければならない。ただし、もよりの停車場から当該本線に列車を進入させない措置を講じたときは、この限りでない。
(電力設備の定期検査)
第二十一条 電力設備については、次の定期検査を行わなければならない。
  1. 一 三月をこえない期間ごとに行う「き電用遮断器」の検査
  2. 二 六月をこえない期間ごとに行う区分装置、電車線接続点、き電分岐装置及びわたり線装置の検査
  3. 三 一年をこえない期間ごとに行う電力設備の検査
 前項第三号の電力設備の検査のうち電車線路の支持物の検査は、その構造及び材質に応じ一年をこえて行うことができる。
(記録)
第二十二条 第十八条及び前条の規定により電力設備の検査を行つたときは、その年月日及び成績を記録しなければならない。
(線路を閉鎖する工事)
第二十三条 電車線路の改築、修理等で列車の運転に支障を及ぼすこととなる工事は、当該工事を施行する区間に列車を進入させない措置を講じた後でなければ、行つてはならない。

第三節 運転保安設備の保全

(運転保安設備の保全)
第二十四条 運転保安設備は、正確に作動することができる状態に保持しなければならない。
(連転保安設備の検査及び確認)
第二十五条 新設した運転保安設備及び改造し、又は修理した運転保安設備は、これを検査し、機能を確かめた後でなければ使用してはならない。災害その他運転事故が発生した運転保安装置で故障の疑いがあるもの及び使用を休止した運転保安装置を使用するときも同様とする。
(運転保安装置の定期検査)
第二十六条 運転保安装置については、次の定期検査を行わなければならない。
  1. 一 三月をこえない期間ごとに行う閉そく装置、転てつ装置及び踏切警報装置の主要部分の検査
  2. 二 六月をこえない期間ごとに行う信号装置、連動装置、軌道貨車制動装置及び列車運転用通信装置の主要部分の検査
  3. 三 一年をこえない期間ごとに行う運転保安装置の検査
(記録)
第二十七条 前二条の規定により運転保安装置の検査を行つたときは、その年月日及び成績を記録しなければならない。

第四節 踏切道及び建築限界の保全

(踏切道の保全)
第二十八条 門扉その他手動の遮断装置を設けた踏切道には、列車運転中係員を配置しなければならない。ただし、当該踏切道における列車の運転回数及び交通量が著しく減少する時間には、係員の配置がないことを通行人が容易に認識することができる措置を講じた場合に限り、係員を配置しないことができる。
 踏切道に設けた自動の遮断装置又は警報装置に故障が発生したことを認めたときは、その踏切道に係員を配置し、又はその他の方法により通行者に注意を与える措置を講じなければならない。
第二十九条 遮断装置又は警報装置を設けていない踏切道であつて、通行人が列車の接近状態を認めることが困難な踏切道には、適当な個所に気笛吹嗚標を設け、その個所を通過する列車は、長緩気笛を一声(必要に応じ数声)吹嗚しなければならない。
(建築限界の保全)
第三十条 建築限界内には、列車及び車両以外の物を置いてはならない。ただし、列車又は車両の運転に支障を与えるおそれがないときは、この限りでない。
 建築限界外であつても、建築限界内にくずれてくるおそれがある物を置いてはならない。

第三章 車両

第一節 車両の保全

(車両の保全)
第三十一条 車両は、安全に運転することができる状態に保持しなければならない。
(車両の検査及び試運転)
第三十二条 新製した車両及び改造し、又は修繕した車両は、これを検査し、試運転を行つた後でなければ使用してはならない。ただし、軽易な改造又は修繕をした場合には、試運転を省略することができる。
 脱線その他運転事故が発生した車両で故障の疑いがあるもの及び使用を休止した車両を使用する場合には、あらかじめ当該車両を検査し、必痰に応じ試運転をしなければならない。
 車両の汽かんで新製したもの及び重要な改造又は修繕をしたものは、第一項の規定による検査及び試運転の外、水圧試験をもしなければならない。
 車両の電気装置で新製したもの及び重要な改造又は修繕をしたものは、第一項の規定による検査及び試運転の外、絶縁耐力試験をもしなければならない。
(機関車の定期検査)
第三十三条 機関車については、次の定期検査を行わなければならない。
  1. 一 三十日(蒸気機関車については四十日)をこえない期間ごとにその状態及び作用について行う検査(電気回路(蒸気機関車の電気回路を除く。)については絶縁抵抗試験を行うものとする。)
  2. 二 一年をこえない期間ごとに行う動力の発生装置及び伝達装置、走り装置、制動装置、計器等主要部分の検査
  3. 三 四年をこえない期間ごとに主要部分を取りはずして全般にわたつて行う検査(汽かんについては水圧試験を、電気装置については絶縁耐力試験を行うものとする。)
 前項第三号の検査をしたときは、当該機関車の試運転を行わなければならない。
(電車及び気動車の定期検査)
第三十四条 電車及び気動車については、次の定期検査を行わなければならない。
  1. 一 三十日をこえない期間ごとにその状態及び作用について行う検査(電気回路については絶縁抵抗試験を行うものとする。)
  2. 二 一年六月をこえない期間ごとに行う動力の発生装置及び伝達装置、走り装置、制動装置、計器等主要部分の検査
  3. 三 三年をこえない期間ごとに主要部分を取りはずして全般にわたつて行う検査(電気装置については絶縁耐力試験を行うものとする。)
 前項第三号の検査をしたときは、当該電車及び気動車の試運転を行わなければならない。
(客車の定期検査)
第三十五条 客車(電車及び気動車を除く。)については、次の定期検査を行わなければならない。
  1. 一 六十日をこえない期間ごとにその状態及び作用について行う検査(電気回路については絶縁抵抗試験を行うものとする。)
  2. 二 一年をこえない期間ごとに行う制動装置、発電装置、計器等主要部分の検査
  3. 三 二年をこえない期間ごとに主要部分を取りはずして全般にわたつて行う検査(電気装置については絶縁耐力試験を行うものとする。)
 前項第三号の検査をしたときは、当該客車の試運転を行わなければならない。
 第三十三条第一項の規定は、暖房車の汽かんの検査について準用する。
(貨車の定期検査)
第三十六条 貨車については、次の定期検査を行わなければならない。
  1. 一 六十日をこえない期間ごとにその状態及び作用について行う検査(電気回路については絶縁抵抗試験を行うものとする。)
  2. 二 一年をこえない期間ごとに行う制動装置、発電装置、計器等の主要部分の検査
  3. 三 四年をこえない期間ごとに主要部分を取りはずして全般にわたつて行う検査(電気装置については絶縁耐力試験を行うものとする。)
 前項第三号の検査をしたときは、当該貨車の試運転を行わなければならない。
 第三十三条第一項の規定は、雪かき車、操縦車等の汽かんの検査について準用する。
(水圧試験)
第三十七条 第三十二条第三項及び第三十三条第一項第三号(第三十五条第三項及び第三十六条第三項において準用する場合を含む。)の規定による水圧試験は、汽かんの最高使用圧力にその三割五分を増加した水圧を使用し、これを五分間以上持続させて行うものとする。
(絶縁耐力試験及び絶縁抵抗試験)
第三十八条 第三十二条第四項、第三十三条第一項第三号、第三十四条第一項第三号、第三十五条第一項第三号及び第三十六条第一項第三号の規定による絶縁耐力試験は、直流七百五十ボルト交流三百ボルトをこえる電圧を使用する電気装置については、最大使用電圧にその六割五分を増加した試験電圧を使用し、これを少くとも一分間持続させて行うものとする。
 第三十三条第一項第一号、第三十四条第一項第一号、第三十五条第一項第一号及び第三十六条第一項第一号の規定による絶縁抵抗試験は、絶縁抵抗計を使用し、その電路に電圧が加わつた場合における電路と大地間の漏えい電流が、直流七百五十ボルト交流三百ボルト以下の場合には規定電流の五千分の一、直流七百五十ボルト交流三百ボルトをこえる場合には規定電流の一万分の一を、こえないことを確かめるものとする。
(特殊の用に供する車両の検査)
第三十九条 もつぱら事故の復旧、施設の試験、検査若しくは保守又は日本国有鉄道の職員の健康管理若しくは教習の用に供する車両については、第三十三条第一項第三号、第三十四条第一項第三号、第三十五条第一項第三号及び第三十六条第一項第三号の規定にかかわらず、機関車及び貨車にあつては五年、電車及び気動車にあつては四年、客車(電車及び気動車を除く。)にあつては三年をこえない期間ごとに主要部分を取りはずして全般にわたつて行う定期検査を行えばよい。
(使用を休止した車両の定期検査)
第三十九条の二 使用を休止した車両で当該使用を休止した期間中に生ずるおそれのある腐食、変形、電気的絶縁の劣化等車両の強度及び機能の低下の防止のため必要な措置を講じたものについては、第三十三条から第三十六条までの規定にかかわらず、次の各号に掲げる期間に当該使用を休止した期間に相当する期間(当該各号に掲げる期間をこえるときは当該各号に掲げる期間)を加えた期間の終了するときまでに定期検査を行えばよい。
  1. 一 機関車(蒸気機関車を除く。)、電車又は気動車の状態及び作用について行う検査 三十日
  2. 二 蒸気機関車の状態及び作用について行う検査 四十日
  3. 三 客車(電車及び気動車を除く。)又は貨車の状態及び作用について行う検査 六十日
  4. 四 車両の主要部分について行なう検査
    1. イ 電車及び気動車 一年六月
    2. ロ 電車及び気動車以外の車両 一年
  5. 五 客車の主要部分を取りはずして全般にわたつて行なう検査
    1. イ 電車及び気動車 三年
    2. ロ 電車及び気動車以外の客車 二年
  6. 六 機関車又は貨車の主要部分を取りはずして全般にわたつて行う検査 四年
第三十九条の三 使用を休止している車両については、第三十三条から第三十六条まで、第三十九条及び前条の規定にかかわらず、当該使用の休止期間の終了するときまでに定期検査を行えばよい。
(他所属車両の検査)
第四十条 地方鉄道又は軌道に所属する車両であつて、日本国有鉄道の鉄道に直通する車両については、第三十二条から第三十六条までの規定による検査及び試運転は、当該車両が所属する事業を経営する者が行うものとする。
(列車の検査)
第四十一条 列車については、その種類及び運行状況に応じ、車両の主要部分の検査を行わなければならない。
(トロリーの定期検査)
第四十二条 トロリーについては、その種類及び使用状況に応じ、期間を定めて主要部分の検査を行わなければならない。
(表記及び記録)
第四十三条 車両及びトロリーの主要部分を取りはずして全般にわたつて検査を行つたときは、その年月を当該車両に表記しなければならない。
 第三十二条から第三十六条までの規定により車両の検査を行つたとき、及び前条の規定によりトロリーの検査を行つたときは、その年月日及び成績を記録しなければならない。

第二節 積載制限等

(積載制限等)
第四十四条 車両には、当該車両に表記してある積載量をこえて物を積載してはならない。ただし、降雨、降雪等のため運転中に当該車両に表記してある積載量をこえた場合であつて、運転に支障がないことを確かめたときは、この限りでない。
 車両に物を積載する場合には、重量の負担が均等となるように努め、運転中の動揺を考慮して崩落、転倒等のおそれがないようにしなければならない。
 無がい車には、車両の側板及びつま板の内側に添う直立面又は車体から外方に突出するように物を積載してはならない。ただし、かつ大な物を輸送する場合において、その積載状態が車両の運転に支障を与えるおそれがないことを確かめたときは、この限りでない。
(危険品の積載)
第四十五条 密閉式構造の車両に危険品を充てんしたとき、又は危険品を充てんした容器を車両に積載するときは、危険品の漏えいのおそれがないことを確かめなければならない。
第四十六条 危険品を積載している車両には、両側の見やすい個所に危険品を積載している旨の表示をしなければならない。
(消火器の備付)
第四十七条 列車を組成している車両の乗務係貝(食堂車の係員及び郵便物を取り扱う係員を含む。)が執務する車室には、消火器を備え付けなければならない。ただし、蒸気機関車、雪かき車、操重車、暖房車及び貨物列車の緩急車の車室には、これを備え付けないことができる。
 前項の消火器は、構造及び性能が消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第二十一条の二第二項に規定する技術上の規格に適合するものでなければならない。
 第一項の消火器は、係員が使用に際して容易に取りはずすことができるように備え付けなければならない。

第四章 運転

第一節 列車の組成

(列車の最大連結両数)
第四十八条 列車の最大連結両数は、動力車のけん引力、線区の施設の状況並びに車両の台わく及び連結装置の強度に応じて、定めなければならない。
(列車の制動距雌)
第四十九条 列車の制動距離は、六百メートル以下としなければならない。
(列車の制動機)
第五十条 列車には、その連結軸百に対し八十以上の割合の制動軸を備えた貫通制動機を使用しなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
  1. 一 貫通制動機が故障した場合であつて、列車を毎時六十五キロメートル以下の速度で運転するとき。
  2. 二 列車(毎時六十五キロメートルをこえる速度で運転する旅客輸送の用に供する列車を除く。)の後部に、貫通制動機の作用しない車両(旅客の乗用に供している車両を除く。)を十軸以下に限り連結するとき。
 列車の最前部及び最後部には、貫通制動機が作用する車両又は手用制動機を使用する車両を連結しなければならない。
 破損した車両、特殊の用に供する車両等で列車の中部に連結することができないものは、前項の規定にかかわらず、列車(毎時六十五キロメートルをこえる速度で運転する旅客翰送の用に供する列車を除く。)の最後部に一両に限り連結することができる。この場合において、当該車両の前位には、係員を乗務させた緩急車又は機関車を連結しなければならない。
(動力車の連結位置)
第五十一条 列車は、動力車(補助の動力車を除く。)が最前部となるように組成しなければならない。ただし、第六十一条ただし書の規定により推進運転をするときは、この限りでない。
(危険品等積載車両の連結制限)
第五十二条 危険品のみを積載している車両(密閉式構造の車両を除く。)を列車に連結するときは、旅客の乗用に供している車両に対し三両以上の、動力車に対し一両以上の空車又は火薬類及び危険品以外の貨物を積戟している車両を介在させなければならない。この場合において、ボギー車一両は、二両とみなす。
(標識の掲出)
第五十三条 列車には標識を掲げなければならない。
(制動機の試験)
第五十四条 列車を組成したとき、又は列車の組成を変更したときは、当該列車を出発させる前に制動機を試験し、その作用を確かめなければならない。

第二節 列車の運転

(列車の運転)
第五十五条 列車の運転は、鉄道信号の表示に従つてしなければならない。
(停車場外の線路における車両の運転)
第五十六条 車両は、列車としてでなければ停車場外の線路を運転してはならない。ただし、停車場外の線路を使用しなければ、車両を連結し、解放し、又は移動する作業(以下「入換」という。)をすることができないときは、この限りでない。
 貨物輸送のみの用に供する線区が一停車場間の区間である場合には、当該線区を運転する列車は、貫通制動機を使用し、かつ、第六十九条第二項に規定する入換の方式により運転することができる。
(列車の運転時刻)
第五十七条 列車の運転は、停車場における出発、通過又は到着の時刻を定めてしなければならない。
(運転整理)
第五十八条 列車の運行がみだれたときは、列車の性質、行先、接続等を考限して運転整理を行い、所定の運行に復するように努めなければならない。
(列車防護等に必要な係員の乗務)
第五十九条 列車には、動力車の操縦に要する係員の外、列車防獲、制動機の取扱、推進運転の合図等を行い、列車の安全の保持にあたる係員を乗務させなければならない。ただし、次に掲げる列車については、この限りでない。
  1. 一 救援列車
  2. 二 排雪列車
  3. 三 総括制御法によらないで運転する動力車のみの列車
  4. 四 貫通制動機を使用し、かつ、単線区間を運転する列車であつて、線区の状況並びに組成及び運行状況により、係員を乗務させないでも運転上支障がないと認められるもの
(左側運転)
第六十条 列車の運転方向を区別する一対の線路においては、左側の線路により列車を運転しなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
  1. 一 停車場内の線路を運転するとき。
  2. 二 工事列車、救援列車又は排雪列車を運転するとき。
  3. 三 退行運転をするとき。
  4. 四 施設又は車両の試験等のために運転するとき。
(列車の推進運転)
第六十一条 列車は、推進運転をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
  1. 一 総括制御法により最前部の車両の前頭において操縦するとき。
  2. 二 最前部の車両の前頭において制動機及び気笛合図の取扱をするとき。
  3. 三 停車場と停車場外の側線との間を運転するとき。
  4. 四 工事列車、救援列車又は排雪列車を運転するとき。
  5. 五 線路、電車線路又は車両に故障があるとき。
(列車の退行運転)
第六十二条 列車は、退行運転をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
  1. 一 工事列車、救援列車又は排雪列車が作業のため必要があるとき。
  2. 二 線路、電車線路又は車両に故障があるとき。
  3. 三 施設又は車両の試験等のために運転するとき。
 前項の規定により列車が退行運転をする場合には、その線路における列車又は車両の安全を保持するのに必要な措置を講じなければならない。
(同時運転の禁止)
第六十三条 二以上の列車が出発し、又は到着する場合において、相互にその進路を支障するおそれがあるときは、これらの列車を同時に運転してはならない。
(列車防護)
第六十四条 停車場外の本線において、脱線等により列車が隣接する線路を運転する列車の進路を支障したときは、すみやかに列車防護をしなければならない。
(先行列車に接近した場合の処置)
第六十五条 第百十七条の規定により停止信号の表示個所をこえて進行する列車が、停車場間の途中において先行列車に接近したときは、すみやかに停止し、先行列車が進行を開始したことを確かめてから相当時間を経過した後でなければ、進行を開始してはならない。
(救援列車に対する防護)
第六十六条 停車場間の途中において停止した列車が、救援列車を要求し、又は救援列車を運転する旨の通知を受けたときは、当該救援列車が到着するまで停止した位置を移動してはならない。線路の応急修理等のために運転した工事列車が、その区間に更に他の工事列車を運転する旨の通知を受けたときも同様とする。
 前項の列車は、救援列車又は他の工事列車が進行してくる方向に対して、百メートル以上を隔てた地点において、手信号又は発えん信号による停止信号を表示しなければならない。
(暴風雨における列車の危難防止)
第六十七条 暴風雨、暴風雪等により列車に危難の生ずるおそれがあるときは、その状況を考慮して、列車の運転を一時中止する等危難防止の措置を講じなければならない。
(トロリーの使用)
第六十八条 停車場外の線路におけるトロリーの使用については、列車の運転に支障がないようにその方法を定めなければならない。

第三節 入換

(入換作業と合図)
第六十九条 入換は、合図によつてしなければならない。ただし、人力による入換(以下「手押入換」という。)をするときは、この限りでない。
 定例の入換であつて、開始の時機及び区域を定めてするものは、前項の規定にかかわらず、入換信号機によつてすることができる。
(突放禁止)
第七十条 車両は、適度に制動することができる場合でなければ、これを突放し、又はハンプ線において流転してはならない。
 旅客が乗つている車両、火薬類を積載している車両及び突放により危害の生ずるおそれがある貨物を積載している車両は、突放してはならない。
 前項の車両に向つて他の車両を突放してはならない。
 旅客が乗つている車両及び火薬類を積載している車両は、ハンプ線において流転してはならない。
(停車場外の線路における入換禁止)
第七十一条 列車の閉そくをした停車場又は自動閉そく式、通票式、指導式若しくは伝令法を施行している区間の停車場においては、当該停車場に向かつて進行して来る列車の方向に対し、停車場外の線路を使用して入換をしてはならない。ただし、やむを得ない事由がある場合で相当の防護をしたときは、この限りでない。
(手押入換の監視)
第七十二条 本線を使用して手押入換をするときは、その作業を監視しなければならない。

第四節 運転速度

(列車の最高速度)
第七十三条 列車の最高速度は、線路及び電車線路の強度並びに車両の構造を考慮して、定めなければならない。
 下りこう配を運転する列車に対しては制動距離を、曲線を運転する列車に対しては車両の安定度を考慮して、その速度を制限しなければならない。
(推進運転等の速度)
第七十四条 列車は、推進運転をするときは、毎時二十五キロメートルをこえない速度で運転しなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
  1. 一 総括制御法により最前部の車両の前頭において操縦するとき。
  2. 二 最前部の車両の前頭において制動機及び気笛合図の取扱をするとき。
  3. 三 排雪列車であるとき。
 列車の最前部に連結した動力車をその後位の運転室(炭水車附機関車を逆向きにして運転する場合を含む。)において操縦するときは、機関車にあつては毎時四十五キロメートルを、電車及び気動車にあつては毎時二十五キロメートルをこえて運転してはならない。
(退行運転の速度)
第七十五条 列車は、予期しない事由による退行運転をするときは、毎時十五キロメートルをこえない速度で運転しなければない。
(閉そく信号機の停止信号をこえて進行する場合の速度)
第七十六条 第百十七条の規定により停止信号の表示個所をこえて進行する列車は、前途の見透しを考慮して、毎時十五キロメートル以下の速度で運転しなければならない
(信号による列車の制限速度)
第七十七条 列車は、次に掲げる信号の表示個所をこえて進行する場合には、それぞれ当該各号に掲げる速度をこえて運転してはならない。
  1. 一 警戒信号 毎時二十五キロメートル
  2. 二 注意信号 次の停止信号(停止信号の表示がないときは停止位置)の表示個所で停止するのに適当な速度又は次の警戒信号の表示個所を所定の速度でこえて進行するのに適当な速度
  3. 三 減速信号 次の注意信号または誓戒信号の表示個所を所定の速度でこえて進行するのに適当な速度
  4. 四 誘導信号 毎時十五キロメートル
  5. 五 徐行信号 表示された速度
(入換の速度)
第七十八条 毎時二十五キロメートルをこえる速度で入換をしてはならない。ただし、動力車のみの入換又は入換信号機による入換をするときは、毎時四十五キロメートルをこえない速度で入換をすることができる。

第五節 転てつ器の取扱

(転てつ器の鎖錠)
第七十九条 本線における転てつ器は、これに関係がある常置信号様と連鎖させて使用しなければならない。ただし、常時鎖錠する転てつ器及び転換することが少ない背向転てつ器については、この限りでない。
 信号装置又は連動装置の故障、修理等のため、関係がある信号様と連鎖することができない転てつ器は、列車を通過させる前にこれを鎖錠しなければならない。ただし、列車を一且停止させて安全に通過することができるようにその速度を低下させるときは、この限りでない。

第六節 車両の留置

(車両の転動防止)
第八十条 車両を留置する場合には、不測の転動を防止するために必要な措置を講じなければならない。
(動力車の留置)
第八十一条 動力がある動力車又はトロリーを留置する場合には、自動防止に必要な措置を講じ、かつ、これを看守しなければならない。
(危険品積載車両の危険防止)
第八十二条 危険品が積載してある車両を留置する場合において、周囲の状況が危険品に危険を及ぼすおそれがあると認められるときは、当該 車両を他の線路に移す等危険防止の措置を講じなければならない。

第五章 閉そく

(閉そく区間の設定)
第八十三条 本線は、閉そく区間に分けなければならない。この場合において、停車場内の本線は、自動閉そく式を施行する場合を除き、閉そく区間に含ませないことができる。
 前項の閉そく区間の区分個所は、次に掲げる個所とする。
  1. 一 自動閉そく式を施行する区間においては、出発信号機、閉そく信号機及び場内信号機
  2. 二 前号の区間以外の区間においては、停車場の境界
 前項第二号の区間においては、二以上の停車場間を一閉そく区間とすることができる。
 第二項の規定にかかわらず、指導式又は伝令法を施行する場合においては、一停車場間を二以上の閉そく区間とすることができる。
(一閉そく区間一列車の原則)
第八十四条 一閉そく区間には、同時に二以上の列車を運転してはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
  1. 一 列車を第百十七条の規定により進行させるとき。
  2. 二 指導式を施行する場合において、その区間に列車若しくは車両がないことを確かめ、又は指導者を選定するため、動力車(これに附随する車両を含む。)を運転するとき
  3. 三 閉そく区間において列車を分割して運転するとき。
  4. 四 列車を誘導により運転するとき。
(閉そく区間の設定)
第八十五条 閉そく区間における列車の運転に対しては、次の閉そく方式を施行しなければならない
  1. 一 複線運転をする場合
     自動閉そく式
  2. 二 単線運転をする場合
     自動閉そく式
     連動閉そく式
     連査閉そく式
     通票閉そく式
     票券閉そく式
     通票式
 閉そく装置の故障等のため、前項の閉そく方式を施行することができないときは、指導式を施行しなければならない。
 前二項の規定にかわらず、次に掲げる場合には、伝令法を施行しなければならない
  1. 一 停車場間に停止した列車を収容するために、救援列車又は排雪列車を運転するとき。
  2. 二 停車場外の本線に遺留し、又は逸走した車両を収容するために、救援列車を運転するとき。
  3. 三 線路の応急修理等のために運転した工事列車がある区間に、他の工事列車を運転するとき。
第八十六条 削除
第八十七条 閉そく区間において列車を運転するときは、閉そく区間に列車を進入させる前に、閉そく区間の両端の停車場において、当該閉そく区間に列車又は車両がないことを確かめて、閉そくをしなければならない。ただし、自動閉そく式、通票式、指導式又は伝令法を施行するときは、この限りではない。
第八十八条 削除
(自動閉そく式)
第八十九条 自動閉そく式による閉そくは、次に掲げる場合において、自動作用により停止信号を表示する信号機を使用して、するものとする。
  1. 一 閉そく区間に列車又は車両があるとき。
  2. 二 閉そく区間における転てつ器が正当方向に開通していないとき
  3. 三 他の線路にある列車又は車両が、線路の分岐個所又は交さ個所において閉そく区間を支障しているとき。
  4. 四 閉そく装置に故障が生じたとき。
  5. 五 単線運転をする区間にあつては、反対方向の信号機が進行を指示する信号を表示するとき
(連動閉そく式)
第九十条 連動閉そく式による閉そくは、次に掲げる場合において、自動作用により停止信号を表示する出発信号機及び閉そくてこを使用して、するものとする。
  1. 一 閉そく区間に列車又は車両があるとき。
  2. 二 閉そく装置に故障が生じたとき。
 前項の出発信号機は、閉そく区間の両端の停車場のうちいずれか一方の停車場の出発信号機が進行信号を表示するときは、相手停車場の出発信号機が進行信号を表示することができないものでなければならない。
(連査閉そく式)
第九十一条 連査閉そく式による閉そくは、閉そく区間の両端の停車場において、次に掲げる要件を備える出発信号機を使用して、するものとする。
  1. 一 閉そく区間の両端の停車場が協同して取り扱わなければ、進行信号を表示することができないこと。
  2. 二 列車が閉そく区間に進入したときは、自動作用により停止信号を表示し、列車が当該閉そく区間から進出した後でなければ、進行信号を表示することができないこと。
  3. 三 閉そく区間の両端の停車場のうちいずれか一方の停車場の出発信号を表示するときは、相手停車場の出発信号機が進行信号を表示することができないこと。
  4. 四 閉そく装置に故障が生じたときは、進行信号を表示できないこと。
(通票閉そく式)
第九十二条 通票閉そく式による閉そくは、閉そく区間の両端の停車場において、次に掲げる要件を備える通票閉そく機及び通票を使用して、するものとする。
  1. 一 閉そく区間の両端の停車場が協同して取り扱わなければ、収容した通票を取り出すことができないこと。
  2. 二 閉そく区間の両端の停車場において一個に限り通票を取り出すことができること。
  3. 三 通票が取り出してあるときは、その通票を通票閉そく機に納めなければ、他の通票を取り出すことができないこと。
  4. 四 種類の異なる通票は、収容することができないこと。
  5. 五 電鈴及び電話機が備えてあること。
 前項の通票は、隣接する閉そく区間に使用するものと種類を異にするものでなければならない。
第九十三条 通票閉そく式を施行している閉そく区間を運転する列車は、当該閉そく区間に使用する通票を携帯しなければならない。
(票券閉そく式)
第九十四条 票券閉そく式による閉そくは、閉そく区間の両端の停車場間で通話することができる電話機、通券を収容する通券函及び一個の通票を使用して、するものとする。
 前項の通券函は、当該閉そく区間に使用する通票でなければ開くことができない装置とし、通票は、隣接する閉そく区間に使用するものと種類を異にするものでなければならない。
 通券には、当該閉そく区間に使用する通票の孔形を表示し、かつ、閉そく区間の両端の停車場名、発行年月日及び携帯する列車の番号を記入しなければならない。
第九十五条 票券閉そく式を施行している閉そく区間を運転する列車は、当該閉そく区間に使用する通票又は通券を携帯しなければならない。
 同一閉そく区間において同一方向に二以上の列車を引き続き運転するときは、先発する列車には通券を、最後に運転する列車には通票を携帯させるものとする。
(通票式)
第九十六条 通票式による閉そくは、一閉そく区間に対して一個の通票を使用して、するものとする。
 前項の通票は、隣接する閉そく区問に使用するものと種類を異にするものでなければならない。
第九十七条 通票式を施行している閉そく区間を運転する列車は、当該閉そく区間に使用する通票を携帯しなければならない。
第九十八条から第百三条まで 削除
(指導式)
第百四条 指導式による閉そくは、一閉そく区間に対して一人の指導者を使用して、するものとする。
 前項の指導者は、指導者である旨を表示する腕章をつけなければならない。
 列車の運転回数がひん繁でなく、かつ、指導者を使用することが困難である線区については、指導者にかえて一個の指導票を使用する指導式を施行することができる。
 前項の指導票は、隣接する閉そく区間に使用するものと種類を異にするものでなければならない
第百五条 指導式を施行している閉そく区間を運転する列車は、当該閉そく区間に使用する指導者を乗車させ、又は当該閉そく区間に使用する指導票を携帯しなければならない。
第百六条から第百九条まで 削除
(伝令法)
第百十条 伝令法の施行は、列車又は車両がある停車場間に他の列車を運転する場合において、当該列車を運転する区間に対して一人の伝令者を使用して、するものとする。
 前項の伝令者は、伝令者である旨を表示する腕章をつけなければならない。
第百十一条 削除
第百十二条 伝令法を施行している区間を運転する列車は、当該区間に使用する伝令者を乗車させなければならない。

第六章 鉄道信号

第一節 総則

(鉄道信号)
第百十三条 鉄道信号は、信号、合図及び標識とする。
 信号は、形、色、音等により列車又は車両に対して一定の区域内の運転を指示するものとする。
 合図は、形、色、音等により係員相互間で、相手者に対して合図者の意志を表示するものとする。
 標識は、形、色等により物の位置、方向等を表示するものとする。
(鉄道信号の昼夜別表示)
第百十四条 昼間と夜間とで表示の方式を異にする鉄道信号は、日出から日没までは昼間の表示の方式により、日没から日出までは夜間の表示の方式により表示しなければならない。
 天候の状態、トンネル、雪覆等により、昼間の表示の方式による表示を認識することが困難であるときは、前項の鉄道信号は、日出から日没までであつても夜間の表示の方式により表示しなければならない。ただし、長さ一キロメートル以下のトンネル又は雪覆内においては、運転中の列車に掲げる標識は、日出から日没までであつても夜間の表示の方式により表示しないことができる。
(信号の種類及び表示の意味)
第百十五条 信号の種類及び表示の意味は、次表の通りとする。
種類表示の意味
停止信号列車又は車両は、信号の表示個所の外方に停止し(信号の表示個所までに停止することができないような距離で停止信号の表示があつたとき、又は発雷信号若しくは発報信号による停止信号の表示があつたときは、すみやかに停止し)、進行を指示する信号の表示又は通告若しくは誘導があるまで進行してはならない。
警戒信号列車は、次に停止信号の表示があること及び過走余裕距離がないことを予期して、信号の表示個所をこえて進行することができる。
注意信号列車又は車両は、次に停止信号、警戒信号又は停止位置の表示があることを予期して、信号の表示個所をこえて進行することができる。
減速信号列車は、次に警戒信号又は注意信号の表示があることを予期して、信号の表示個所をこえて進行することができる。
進行信号列車又は車両は、信号の表示個所をこえて進行することができる。
誘導信号列車は、進路に列車又は車両があることを予期して、信号の表示個所をこえて進行することができる。
停止中継信号列車は、主体の信号機が停止信号を表示していることを予期して、信号の表示個所をこえて進行することができる。
制限中継信号列車は、主体の信号機が警戒信号、注意信号又は減速信号を表示していることを予期して、信号の表示個所をこえて進行することができる。
進行中継信号列車は、主体の信号機が進行信号を表示していることを予期して、信号の表示個所をこえて進行することができる。
徐行信号列車又は車両は、表示された徐行速度以下の速度で、信号の表示個所をこえて進行することができる。
停止信号列車又は車両は、次に徐行信号の表示があることを予期して、信号の表示個所をこえて進行することができる。
徐行解除信号列車又は車両は、信号の表示個所をこえた後に、表示された徐行速度をこえる速度で進行することができる。
(最大の制限を与える表示)
第百十六条 信号機又は手信号により、信号を表示すぺき所定の個所に信号の表示がないとき、又は信号の表示が確かでないとぎは、その信号機又は手信号による表示のうち、列車又は車両の運転に対して最大の制限を与える表示があるものとみなす。
(閉そく信号機の停止信号に対する例外)
第百十七条 自動閉そく式を施行している区間において、閉そく信号機の停止信号により停止した列車は、相当の時間が経過しても当該信号機 に進行を指示する信号の表示がないときは、停止信号の表示にかかわらず、その信号の表示個所をこえて進行することができる。
(列車に対する信号の表示)
第百十八条 列車に対する信号は、次に掲げるものを除き、常置信号機により表示しなければならない。
  1. 一 第百三十一条の規定により表示する臨時信号機による信号
  2. 二 第百三十三条の規定により表示する手信号による信号
  3. 三 第百三十五条の規定により表示する特殊信号による信号
(信号機の確認距離)
第百十九条 信号機により表示する信号は、当該信号機に接近する列車又は車両が、その非常制動距離以上の距離で確認することができるものでなければならない。ただし、次に掲げる信号機により表示する信号については、この限りでない。
  1. 一 停止中の列車又は車両に対して信号を表示する信号機
  2. 二 主体の信号機
  3. 三 従属信号機
  4. 四 臨時信号機

第二節 常置信号機

(常置信号機の種類)
第百二十条 常置信号機を分けて、主信号機、従属信号機及び信号附属機とする。
 主信号機の種類は、次の通りとする。
  1. 一 場内信号機 停車場に進入する列車に対して信号を表示するもの
  2. 二 出発信号機 停車場を進出する列車に対して信号を表示するもの
  3. 三 閉そく信号機 閉そく区間に進入する列車に対して信号を表示するもの
  4. 四 誘導信号機 停車場に進入する列車に対して誘導信号を表示するもの
  5. 五 入換信号機 入換をする車両に対して信号を表示するもの
 従属信号機の種類は、次の通りとする。
  1. 一 遠方信号機 場内信号機又は出発信号機に従属し、列車に対して主体の信号機が表示する信号を予告する信号を表示するもの
  2. 二 通過信号機 出発信号機に従属し、停車場に進入する列車に対して主体の信号機が表示する信号を予告して、停車場を通過することの可否の信号を表示するもの
  3. 三 中継信号機 場内信号機、出発信号機又は閉そく信号機に従属し、列車に対して主体の信号機が表示する信号を中継する信号を表示するもの
 信号附属機の種類は、次の通りとする。
  1. 一 進路表示機 場内信号機、出発信号機又は入換信号機に附属し、列車又は車両に対してその進路を表示するもの
  2. 二 進路予告機 場内信号機、出発信号機又は閉そく信号機に附属し、次の場内信号機又は出発信号機が表示する進路を列車に対して予告するもの
(常置信号機の表示の方式)
第百二十一条 常置信号機による信号の表示の方式は、次表の通りとする。
  1. 一 場内信号機、出発信号機及び閉そく信号機
    種類表示の方式
    三位式二位式
    色燈式色燈式腕木式
    昼間夜間
    停止信号赤色燈赤色燈腕水平赤色燈
    警戒信号上位橙黄色燈
    下位橙黄色燈
    上位橙黄色燈
    下位橙黄色燈
    上位腕左下向四十五度
    下位腕左下向四十五度
    上位橙黄色燈
    下位橙黄色燈
    注意信号橙黄色燈
    減速信号上位橙黄色燈
    下位緑色燈
    進行信号緑色燈緑色燈腕左下向四十五度緑色燈
  2. 二 誘導信号機
    種類表示の方式
    燈列式
    誘導信号白色燈列
    左下向四十五度
  3. 三 入換信号機
    種類表示の方式
    燈列式
    三位式二位式
    停止信号白色燈列
    水平
    白色燈列
    水平
    注意信号白色燈列
    左下向四十五度
    進行信号白色燈列
    垂直
    白色燈列
    左下向四十五度
  4. 四 遠方信号機
    種類表示の方式
    三位式二位式
    色燈式色燈式腕木式
    昼間夜間
    主体の信号機が停止信号を表示するとき。注意信号橙黄色燈橙黄色燈腕水平橙黄色燈
    主体の信号機が警戒信号又は注意信号を表示するとき。減速信号上位橙黄色燈
    下位緑色燈
    上位橙黄色燈
    下位緑色燈
    主体の信号機が進行信号を表示するとき。進行信号緑色燈緑色燈腕左下向四十五度緑色燈
  5. 五 通過信号機
    種類表示の方式
    二位式
    色燈式腕木式
    昼間夜間
    主体の信号機が停止信号を表示するとき。注意信号橙黄色燈腕水平橙黄色燈
    主体の信号機が進行信号を表示するとき。進行信号緑色燈腕左下向四十五度緑色燈
  6. 六 中継信号機
    種類表示の方式
    色燈式
    主体の信号機が停止信号を表示するとき。停止中継信号白色燈列
    水平
    主体の信号機が警戒信号、注意信号又は減速信号を表示するとき。制限中継信号白色燈列
    左下向四十五度
    主体の信号機が進行信号を表示するとき。進行中継信号白色燈列
    垂直
 前項の腕木式の腕は、次に掲げるものとする。
  1. 一 信号機の腕にあつては、長方形(警戒信号を表示する主信号機の下位の腕にあつては、腕端は切出形)で表面を赤色とし、腕端に近く腕端と並行して白色線を画するもの
  2. 二 遠方信号機及び通過信号機の腕にあつては、それぞれ腕端は矢筈形及び撥形で表面を橙黄色とし、腕端に近く腕端と並行して黒色線を画するもの
 信号附属機を使用する場合には、表示の方式を定めて、しなければならない。
(信号機の配列)
第百二十二条 同一個所において同一種類の信号機二以上を使用して信号を表示する場合には、方式を定めて信号機を配列し、所属線路を明らかにしなければならない。
 同一個所で二以上の信号機を上下に配列して信号を表示する場合において、信号の表示の方式が三位式によるものであるときは、これらの信号機を垂直線上に配列してはならない。
(信号機が故障となつた場合の信号表示)
第百二十三条 常置信号機は、故障が生じた場合においては、当該信号機が表示する信号のうちで列車又は車両の運転に最大の制限を与える信号を表示するものであるか、又は信号を表示しないものでなければならない。
(信号の表示の定位)
第百二十四条 常置信号機については、当該信号機が表示する信号のうち、列車又は車両の運転に最大の制限を与える信号の表示を定位としなければならない。ただし、自動閉そく式を施行している区間の常置信号機については、進行信号の表示を定位とすることができる。
(主信号機の進行を指示する信号の表示)
第百二十五条 主信号機については、その信号機が防護する区域に支障があるときは、進行を指示する信号を表示してはならない。
 出発信号機(自動閉そく式を施行している区間のものを除く。)については、列車に対して閉そくをした後でなければ、進行信号を表示してはならない。
第百二十六条 三位式信号機については、その内方の信号機が、注意信号を表示する前に進行信号を、注意信号又は警戒信号を表示する前に減速信号を表示してはならない。
(従属信号機の進行を指示する信号の表示)
第百二十七条 遠方信号機又は通過信号機については、主体の信号機及び遠方信号機又は通過信号機と同一個所に設けてある信号機が進行を指示する信号を表示する前に、進行信号又は減速信号を表示してはならない。
 中継信号機については、主体の信号機が、進行信号を表示する前に進行中継信号を、警戒信号、注意信号又は減速信号を表示する前に制限中継信号を表示してはならない。
(信号附属機の進路の表示)
第百二十八条 進路表示機については、これを設けている信号機が進行を指示する信号を表示する前に、進路を表示してはならない。
 進路予告機については、これを設けている信号機及びその次の信号機が進行を指示する信号を表示する前に、進路の予告の表示をしてはならない。

第三節 臨時信号機

(臨時信号機の種類)
第百二十九条 臨時信号機の種類は、次の通りとする。
  1. 一 徐行信号機 徐行運転を必要とする区域に進入する列車又は車両に対して徐行信号を表示するもの
  2. 二 徐行予告信号機 徐行信号機に従属し、列車又は車両に対して徐行予告信号を表示するもの
  3. 三 徐行解除信号機 徐行運転を必要とする区域から進出する列車又は車両に対して徐行解除信号を表示するもの
(臨時信号機の表示の方式)
第百三十条 臨時信号機による信号の表示の方式は、次表の通りとする。
種類表示の方式
昼間夜間
徐行信号白色縁の橙黄色円盤橙黄色燈
徐行予告信号黒色うろこ形三個を画した白色三角形板黒色うろこ形三個を画した白色燈
徐行解除信号白色縁の緑色円盤緑色燈
 臨時信号機の夜間の表示の方式は、列車の前部標識の燈光の反射により信号の表示を認識することができる装置としたときは、昼間の表示の方式によることができる。
(徐行運転の表示)
第百三十一条 線路又は電車線路が列車又は車両を所定の速度で運転することができない状態となつたときは、その旨を関係係員に知らせた後、臨時信号機により信号を表示しなければならない。この場合において、徐行信号機には、徐行速度を表示しなければならない。

第四節 手信号

(手信号の表示の方式)
第百三十二条 手信号による信号の表示の方式は、次表の通りとする。
種類表示の方式
昼間夜間
停止信号赤色旗又は赤色燈。ただし、赤色旗及び赤色燈がないときは、両腕を高くあげるか、又は緑色旗以外の物を急激に振る。赤色燈。ただし、赤色燈がないときは、緑色燈以外の燈を急激に振る。
進行信号緑色旗又は緑色燈。ただし、緑色旗及び緑色燈がないときは、片腕を高くあげる。緑色燈
徐行信号赤色旗と緑色旗とを絞つて、頭上で高く交さする。明滅する緑色燈
 手信号に使用する旗及び燈は、四百メートル以上の距離で確認することができるものでなければならない。
(手信号による信号の表示)
第百三十三条 次に掲げる場合には、手信号による信号を表示するものとする。
  1. 一 場内信号機又は出発信号機が故障のため信号を表示しないとき。
  2. 二 停車場で列車が停止する場合において、停止限界が明らかでないとき。
  3. 三 列車防護をするとき。
  4. 四 列車又は車両を徐行運転させる場合において、臨時信号機により信号を表示することができないとき。
  5. 五 信号機を設けていない個所で列車を停止させるとき。
 前項第一号に規定する場合において進行信号を、同項第四号に規定する場合において徐行信号を表示するには、その旨を関係係員に知らせた後でなければならない。

第五節 特殊信号

(特殊信号の表示の方式)
第百三十四条 特殊信号による信号の表示の方式は、次表のとおりとする。
種類表示の方式
発えん信号発光信号発雷信号発報信号
停止信号赤色火えん二以上の明滅する赤色燈爆音警音
 前項の赤色火えん及び警音は、表示個所から六百メートル以上の距離で確認することができ、かつ、五分間以上継続して信号を表示することができるものでなければならない。
 第一項の赤色燈は、表示個所から六百メートル以上の距離で確認することができるものでなければならない。
 第一項の爆音は、列車の騒音により妨げられないものでなければならない。
(特殊信号による信号の表示)
第百三十五条 次に掲げる場合には、特殊信号による信号を表示するものとする。
  1. 一 列車防護をするとき。
  2. 二 天候の状態により、場内信号機が表示する停止信号を認識することが困難であるとき。
  3. 三 信号機を設けていない個所で列車を停止させるとき。

第六節 合図

(気笛合図)
第百三十六条 列車は、次に掲げる場合には、それぞれ当該各号に掲げる表示の方式により気笛合図をしなければならない。
  1. 一 危険を警告するとき。 短急気笛数声
  2. 二 接近を知らせるとき。 長緩気笛一声
  3. 三 非常事故が生じたとき。 短急気笛数声 長緩気笛一声
 前項各号に掲げる場合以外の場合における気笛合図は、表示の方式を定めてしなければならない。
(入換合図)
第百三十七条 第六十九条第一項の合図の表示の方式は、次表の通りとする。
種類表示の方式
昼間夜間
合図者の方へこい緑色旗を左右に動かす。ただし、緑色旗がないときは、片腕を左右に動かす。緑色燈を左右に動かす。
合図者から去れ緑色旗を上下に動かす。ただし、緑色旗がないときは、片腕を上下に動かす。緑色燈を上下に動かす。
速度を節制せよ左右又は上下に動かしている緑色旗を大きく上下に一回動かす。ただし、緑色旗がないときは、左右又は上下に動かしている片腕を大きく上下に一回動かす。左右又は上下に動かしている緑色燈を大きく上下に一回動かす。
少し進退せよ赤色旗を絞つて片手に持つたまま頭上で動かしながら、「合図者の方へこい」又は「合図者から去れ」の合図をする。ただし、旗がないときは、片腕を頭上で動かしながら、他の腕で「合図者の方へこい」又は「合図者から去れ」の合図をする。赤色燈を上下に動かした後、「合図者の方へこい」又は「合図者から去れ」の合図をする。
停止せよ赤色旗を表示する。ただし、赤色旗がないときは、両腕を高くあげる。赤色燈を表示する。
(作業の合図)
第百三十八条 次に掲げる掲合には、合図の方式を定め、その合図によつて作業をしなければならない。
  1. 一 停車場において列車を出発させるとき。
  2. 二 客扱又は荷扱のため列車の停止位置を指示するとき。
  3. 三 推進運転をする列車の最前部の車両に乗務する係員が、動力車を操縦する係員に対して運転に必要な連絡をするとき。
  4. 四 車両の検査、修繕、連結又は解放をする場合において、当該車両の移動を禁止するとき。
  5. 五 信号機の取扱をする係員又は入換の合図をする係員と転てつ器の取扱をする係員との間において、転てつ器の取扱に関する連絡をするとき。
  6. 六 列車の貫通制動機の試験をするとき。

第七節 標識

(列車標識)
第百三十九条 列車の標識の表示の方式は、次表の通りとする。
種類表示の方式
夜間
前部標識列車の最前部の車両の前面に白色燈
後部標識列車の最後部の車両の後面に赤色燈
 列車が退行運転をする場合における列車の標識については、当該列車が退行運転をする前に表示していたままとする。
 第五十六条第二項の規定により入換の方式で運転する列車については、第一項に規定する後部標識を省略することができる。
(入換に使用する動力車の標識)
第百四十条 入換に使用する動力車には、夜間にあつては、その前部及び後部にそれぞれ赤色燈を掲げなければならない。ただし、前条第一項及び第二項に規定する前部標識を掲げたときは、この限りでない。
(その他の標識)
第百四十一条 次に掲げるものを表示する場合には、方式を定めて、標識により表示しなければならない。
  1. 一 転てつ器の開通している方向
  2. 二 常置信号機を設けていない個所における列車又は車両の停止限界
  3. 三 自動閉そく式を施行する区間における閉そく信号機
  4. 四 電車線の終端
  5. 五 軌道の終端

附則(抄)

(施行期日)
 この省令は、昭和三十年六月一日から施行する。ただし、第三十六条第一項の規定(第三号の規定に係るものに限る。)及び第四十七条の規定は、昭和三十一年四月一日から施行する。
(日本国有鉄道運転規程等の廃止)
 日本国有鉄道運転規程(昭和二十二年運輸省令第三号。以下「旧規程」という。)、日本国有鉄道信号規程(昭和二十二年運輸省令第四号)及び日本国有鉄道簡易線運転規程(昭和七年鉄道省令第十号)は、廃止する。
(経過規程)
 この省令施行の際現に旧規程により施行している双信閉そく式は、自動閉そく式に変更されるまでは、常用閉そく方式とみなす。
 この省令施行の際現に旧規程による徐行許容標識が添装してある閉そく信号機の停止信号については、第百十五条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
別表第一 危険品
種類品目
高圧ガスアセチレンガス、天然ガス、液体空気、液体窒素、液体酸素、液体アンモニア、液体塩素、液化プロパンその他圧縮し、又は液体化したガス
軽火工品マッチ、導火線、電気導火線、信号えん管、信号火せん、煙火、発煙剤その他これらに類するもの
油紙・油布類油紙又は油布とその製品、擬ウールじゆうとその製品及び動植物性繊維とその製品で動植物油脂ろうの含有量が5%をこえるもの
可燃性液体鉱油原油、揮発油、ソルベントナフタ、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、アルコール(変性アルコールを含む。)、アセトン、二硫化炭素、塗料希釈剤、ニトロベンゼン、ニトロトルエンその他可燃性液体及び可燃性液体の製品で引火点25℃以下のもの
可燃性固体金属カリウム、金属ナトリウム、カリウムアマルガム、ナトリウムアマルガム、マグネシウム、(板、棒、塊状のものを除く。)、アルミニウム粉、黄リン、硫化リン、ニトロセルローズ(水またはアルコールに浸したものに限り、強綿薬を除く。)、硝石、硝酸アンモニウム、ジニトロ化合物、トリニトロ化合物(爆発の用に供するものを除く。)、ピクリン酸その他可燃性固体又は可燃性固体の製品で可燃性固体の含有量が10%をこえるもの
吸湿発熱物ハイドロサルハイト、生石灰、低温焼成ドロマイト、リン化カルシウム、カーバイド
酸類硝酸、硫酸、塩化スルホン酸(塩化スルフリルを含む。)、弗化水素酸、鉛蓄電池(薬液を入れたものに限る。)その他強酸類(酸類の含有量が10%をこえるもの)
酸化腐食剤塩素酸カリウム、塩素酸バリウム、塩素酸ナトリウム、過塩素酸アンモニウム、塩化リン、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、晒粉、臭素その他酸化腐食剤及び酸化腐食剤製品で酸化腐食剤の含有量が30%をこえるもの
揮発性毒物硫酸ジメチル、フェロシリコン、塩化硫黄、クロルピクリン、四エチル鉛
作者注:可燃性固体の項で、原典では「……マグネシウム、(板、棒……」「ニトロセルローズ」とありましたが、それぞれ「……マグネシウム(板、棒……」「ニトロセルロース」の誤りと思われます。上記は原典通り記載しました。
別表第二 運転事故の種類
種類内容
1 列車衝突列車が他の列車又は車両と衝突し、又は接触した場合
2 列車脱線列車が脱線した場合
3 列車火災列車に火災が生じた場合
4 踏切障害踏切道において、列車又は車両が道路を通行する人又は車両等と衝突し、又は接触した場合
5 人身障害列車又は車両の運転により人の死傷を生じた場合(前号に属する場合を除く。)
6 その他前各号に属さない場合であつて、列車又は車両の運転により五十万円以上の物損を生じた場合
備考 事故が二種類以上の運転事故に該当する場合には、各号の順序に従つて最先位の種類を当該運転事故の種類とする

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