貨物線6

酒田港駅貨物線

酒田港駅は羽越本線支線の貨物駅で、かつては港湾一帯に専用線が張りめぐらされていたが、現在はコンテナ貨物を中心に取り扱っている。今回は工場敷地内を除き、その線路の現状をほほ全て調査した。

羽越本線には新津~秋田間の他に、酒田~酒田港間の支線を持っています。この支線はわずか1駅間ながら、日本貨物鉄道が第一種鉄道事業者として運営する貴重な貨物専用線です。今回調査する酒田港駅はその終端に位置します。

今回の調査のきっかけは「JR貨物時刻表」でした。貨物時刻表には末尾に「貨物駅構内図」と称して配線略図らしきものが載っていますが、酒田港駅の欄にはこのような図が載っています(下図は『2012鉄道貨物時刻表』(鉄道貨物協会)をもとに作成)。

酒田港駅構内図(『JR貨物時刻表』による)

なんと、専用線が5つもあります。これは配線鉄としては行ってみるしかない……と思いながらも、実際に訪問したのは2013年の夏になりました。

ところが、調査に行くにあたって下調べしてみると、どうも様子がおかしい。専用線や私有貨車の写真が2009年を境に1枚も見つかりません。さらに、Wikipediaには専用線は「廃止」「撤去予定」という文字が……。ただ、貨物時刻表の酒田港駅構内図には最新の2013年版も同じ図が載っていますので、線路だけは残ってるのだろう……と思いながら現地に向かいました。

酒田港駅1 南地区(着発線・コンテナホーム)

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酒田駅出発 14:30

羽越本線の電車に乗って酒田駅に着きました。今回は「酒田観光自転車」を利用させていただきました。無料なのが嬉しいのですが、「観光目的以外の使用はご遠慮ください」とあります……。配線調査は観光なのかと聞かれると若干苦しいところがあります。午後5時までに返却しなければならないので、早速酒田港駅に向かいます。

酒田港駅前の踏切 2012年9月1日

駅前の道を2kmほど直進すると、踏切が見えてきました。ここから見えるのが、酒田港駅の入り口となる南地区です(適当な名前が見当たらないので便宜上こう呼ぶことにします)。南地区は酒田駅からの貨物支線と2系統の専用側線(それぞれ東系統、西系統とします)の結節点であり、ここにコンテナホームも設けられています。なお、今回は時間の都合上調査を省略したので、この場所のみ前回訪問時(2012年9月)の写真です。

(貨物支線・西系統専用線)
(右)貨物支線 酒田駅方<br />(左)東系統専用線

酒田駅からの貨物支線は着発線のある左方へと曲がっていきます。

(貨物支線)
貨物支線 奥が着発線

一方、東系統専用線は左の着発線に加え、中央の貯木場線や右の西系統専用線へと分かれていきます。配線の詳細は後で写真中央の陸橋に乗ってから紹介したいと思います。

(東系統専用線)
東系統専用線

「貯1~5番線」と貨物時刻表には書いてありますが、コンテナ荷役線にしか見えません(以降、混乱なきよう貯木場線コンテナホームと呼びますが、本当に貯木場だったのかは不明)。早くも貨物時刻表の構内図に不安要素が……。

(貯木場線もといコンテナ荷役線)
貯木場線 もといコンテナ荷役線

着発線・コンテナホーム 15:00

先ほどの踏切から南側には着発線群※とコンテナ荷役線が伸びています。線路の外周をコの字型に走る道路を一周してみることにします。

着発線群の東側には着発線コンテナホームがあります。道路とホームが近接していて、公道からこのようにホームを見ることができます。トラックが乗り入れるのにも便利そうです。この道路は港湾の工業地帯らしく、大型トラックが頻繁に行き来していました。

(コンテナホーム)
留置中のコンテナ
(コンテナホーム)
コンテナホーム

さらに進んで、機回し線と線路終端です。いちおう本線の終端なのですが、車止めは古レールを組んだだけです。現在も使われている右側と使われていない左側でレールの色がかなり違います。

(機回し線・線路終端)
機回し線・線路終端

線路の西側に回ります。こちら側にも片側1車線の立派な道路がありますが、交通量は僅かです(この道路からは貯木場線コンテナホームにしか行くことができないので当然です)。線路の向こうに先ほどの着発線コンテナホームが見えます。

(着発線)
着発線

道路の反対側には土が盛り上げられて小さな丘になった所があるので、そこに登ってみることにします。

(着発線)
丘から見る着発線
(線路が分かれていく)
線路が分かれていく

かなり良い眺めで、配線がよく分かります。ところで、写真手前に行き止まりの線路が2線あります。安全側線としては不自然な位置なので、この道路や丘の部分まで線路が広がっていた跡と見て間違いないでしょう。

道路の先は貯木場線コンテナホームに突き当たっています。貨物駅らしく廃コンテナや廃貨車が置かれていました。

(貯木場線コンテナホーム)
貯木場線コンテナホーム

陸橋上 15:15

コの字型の道路を戻り、先程から気になっていた陸橋に登ります。相変わらず交通量は多いものの、きちんと歩道が区切られているため自転車でも難なく登れます。

酒田港駅の駅舎です。貨物駅によくある古い建物です。国鉄時代の建物なのは間違いないと思いますが、冷房は入っているのでしょうか。

(酒田港駅舎)
酒田港駅舎

さて、陸橋を登りきり、先ほどの着発線・コンテナホームを見下ろしてみます。外周を回っただけでは見えなかった分岐器が確認できるようになりました。

(着発線)
着発線

コンテナホーム1面1線の隣に10本弱の線路が広がっています。着発線群は手前で2本の線路にまとまり、左は酒田駅、右は貯1-5番線や東西系統専用線に通じています。奥には少し前に登った丘(?)が見えます。

(着発線)
奥が先ほどの丘

その右(北方)には貯木場線コンテナホームがあります。貨物時刻表には「貯1~貯5番線」と書いてあるので元は貯木場があったのかもしれませんが、ご覧の通りただのコンテナホームです。

(貯木場線コンテナホーム)
貯木場線コンテナホーム
(貯木場線コンテナホーム)
荷役線が3線

振り返って酒田方を見てみます。踏切が鳴り始め、ちょうど酒田港線の列車がやって来ました。酒田港線は平日でも単機になる日があるようですが、この日は幸運にも長編成のコンテナ列車が運転されました。

(コンテナ列車)
酒田駅からのコンテナ列車<br />入3レ DE10 1687[東新]+コキ107形+コキ50000形10両

跨線橋の上から前述の踏切を見ています。右側が酒田駅への貨物支線、左側が専用線です。多くの線路が使われないまま錆びています。

(構内中央)
(上右)酒田駅方<br />(上左)東系統専用線<br />(下右)着発線<br />(下左)貯木場線・西系統専用線

東系統専用線は手前で6本の線路に分かれています。中央の光っている線路が貯1-5番線、左側が西系統専用線や荒荷線に繋がっているようです。だいぶ草むしているようですが……。

(構内中央)
(下中央)貯木場線コンテナホーム<br />(下左)西系統専用線
(西系統専用線)
草むした西系統専用線

今回の調査から作った配線略図です。分岐器の分岐側が違うため貨物時刻表のものとかなり異なって見えます。

酒田港駅構内図

西系統専用線と荒荷線は後で調査することにして、ちょうどやってきたコンテナ列車の入換を観察したいと思います。

※ 写真はすべて公道などから撮影
※ 羽越本線の酒田~酒田港駅間は入換運転のため、酒田港駅には出発信号機が設置されていません。従って本来は「着発線は存在しない」という事になりますが、ここでは事実上列車の発着に使われている線路を「着発線」としています。

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調査日
2013年8月15日(一部2012年9月1日)
公開日
2015年3月29日